ホームスクール(英語:homeschool)とは、学校に通わず、家庭に拠点を置いて学習すること。ホームエデュケーション(home education)や、ホームベイスドエデュケーション(home-based education)とも呼ばれます。
ホームスクールは、学校ではなく親が、子どもの教育の一切の責任をもち、教育機関の外で行われる、オルタナティブな教育手法。学び方は親によっていろいろで、学校以上に厳しい?細かいカリキュラムをもつ構造型のものから、フリーフォームラーニング(free form learning)やアンスクーリング(unschooling)と呼ばれる、完全に自由なスタイルのものまで様々。
ホームスクールに関する法律は国によって異なります。ウィキペディアによると、ホームスクールが合法なのは、アメリカ、カナダ、コロンビア、メキシコ、ペルー、インド、インドネシア、イスラエル、フィリピン、台湾、タイ、フィンランド、イタリア、ノルウェイ、イギリス、オーストラリアなど。ブラジル、キューバ、トルコ、ドイツ、スウェーデンなどでは禁じられています。
合法か違法かといっても、州や条件によって状況は異なるし、例外もあります。合法の場合でも、政府に登録義務があったり、子どもの教育進捗状況の厳しい報告義務がある場合など、分類は難しいようです。
ホームスクールー日本では違法?合法?
では、日本では、ホームスクールは合法なのか、違法なのか?
フリースクール・東京シューレのこんな記事を見つけました。
「ホームエデュケーションは違法? ホームエデュケーションは子どもの権利 」(多田 元(弁護士)「メッセージ」vol.128より)
追記※以前はリンクがあったのですが、今はネット掲載されていないようです。
簡単にいうと、まず、日本にはほかの国々にあるような、ホームスクールに限定した法律は存在しないということ。
しかし、憲法26条が義務教育を「普通教育」と定めているということは、義務教育の内容を学校教育には限定していないので、たとえばホームエデュケーション法を作って、ホームエデュケーションを義務教育に対応するものとするのは、憲法のもとで可能。
さらに、世界人権宣言を受けた国連子どもの権利条約をみても、親は子どものために、学校教育以外の教育方法を選択する権利が認められています。
義務教育は、戦後の貧しい時代に、子どもの教育の機会を奪わないためにつくられたものだとしたら、時代が変わり、それぞれの子どもに合った最善の教育方法を考えるとき、ホームスクールが選択肢のひとつとして存在させることは、それこそが、子どもたちに真の教育の権利を与えることにつながるのではないかと思います。
ホームスクールの理由ー最近のトレンドは、「フレキシブル」
カナダに移り住んで間もなく、多くの子どもたちが、わりと普通にホームスクーリングをしていることに気づいた。ホームスクールをする理由も、日本では不登校やいじめなど、やむを得ない理由が多いという印象があるが、こちらではもっと自由で前向きな捉え方が一般的(少なくとも私の周りでは)。
フレイザーインスティチュートというカナダのシンクタンクがまとめた、ホームスクールに関する報告書(Home Schooling in Canada: The Current Picture – 2015 Edition Deani Neven Van Pelt)によると、かつてはイデオロギーや学者ぶった考え方に基づいた、批判的な理由によるホームスクーリングが多かったが、今は単に「可能」で「実用的」だから、というものに変わってきました。
ホームスクールは、時間も場所もやり方もフレキシブル。教育現場だって、多様化するライフスタイルに合わせていくべきです。
ブリティッシュ・コロンビア州のホームスクール
カナダでは、どの地域においても、ホームスクールは合法。細かい教育制度については、州政府により管轄されているので、各州の教育省が教育水準を設定し、カリキュラムを組んでいます。
私の住むブリティッシュ・コロンビア州 では、州政府のホームページで、ホームスクールを探すと、次のような文章から始まります。
“A familiar and comfortable place to learn makes education enjoyable. Creating an excellent learning environment involves surroundings that are calm, secure and fun – just like at home.”
「馴染みの深い、心地の良い場所で学ぶことは、教育を楽しめるものにします。すばらしい学びの環境をつくることは、穏やかで、安全で楽しい状況を伴います。それはまさに家にいるような環境です。」(筆者訳)
えっ、カナダの州政府のホームページとは思えないコメント!やはりカナダは(比較的といえども)自由の国だと実感。
さらに、ブリティッシュ・コロンビア州特有のホームスクールの定義についての説明がつづく。ホームスクールの法的な形式は以下の二つに分かれます。
ひとつめは、「伝統的ホームスクーリング」。
通常、ホームスクールというと、これを指す。学校とは一切かかわらず、好き勝手?なカリキュラムで勉強できますが、卒業資格はもらえません。
ふたつめは、「学校からの支援・ホームラーニング(public school distributed learning)」というもの。
学校に通わずして、でも、州の認証を受けた教員が定期的に子どもの勉強に関するレポートを作成したり、州政府の基準を満たすことで、通常の学校に通ったのと同様に卒業資格が得られます。登録は学校にするので、法的には、学校に所属することになります。
ハイブリッド型の”ホームラーニング”は理想的
これによると、うちの場合は、厳密にはホームスクールではなく、ホームラーニング、または、ディストリビューテッド・ラーニングと呼ばれる部類に入ります。
幸運にも、ここペンダー島には、ジュリー・ジョンストンという教員資格をもった女性が、”スプリング・リーブズ”というホームラーニンググループをつくり、ホームスクーラーの社交・情報交換の場、そして自由に学べる場を提供してくれています。
学校に行く義務はなく、通うことはなくても、毎週水曜日はスプリング・リーブズの日。学年は関係なし。参加は完全に自由だが、ホームラーニングの子どものためだけの教室があり、体育館の使用もスプリング・リーブズの割当日があります。図書館の使用も可能。クラスでは、ジュリー先生のほか、ホームラーニングメンバーの親や才能ある地元の人々が、交代で教える機会もあります。ちょっとしたフィールドトリップに行くことも。うちでは、グランマも、気が向けば、時々参加します。
参加したい学校行事などは、スクールニュースレターなどでチェックして、興味のあるものだけ参加します。先日行ったサイエンスフェアでは、ホームスクールの子も普通学級の子も一緒に発表していました。
ほかにも、ガルフ諸島ならではのファーストネーション(アメリカでいうネイティブ/インディアン)の講演会で、自然や人への思いやりのある生き方などについて、フラフープのダンスともにすばらしいメッセージを学んだり、地元警察が自転車の安全な乗り方を教えるバイク・ロデオ、スキーツアーなど、自分だけではアレンジしにくいアクティビティーにも、学校の力を借りることで、参加が可能になります。
さらにこのホームラーニングプログラムに参加することで、通常子どもひとり当たりに充てられる、政府から学校に行くはずのお金が、教育補助金として個人に与えられます。これまで、子どもの好きなドリルを買ったり、オンラインの教材サイト(Education.com-英語でワークブック、クイズ、ゲームなどを通して教えたい方にはおすすめ!)の会費に使ったり、ギターに興味が出てきたので、音楽レッスン代に使ったりしました。
ホームラーニングは、簡単にいうと、通常の学校制度とホームスクールのハイブリッドのようなもの。学校とのつながりをもちつつ、家庭を拠点として学ぶホームラーニングは、私たちにとってはまさに理想的。
日本にも、こんなホームスクールがあったら!
※この記事は2015年に書いたものであり、現在スプリングリーブズプログラムは終了してしまいましたが、現在でも何人かの子どもたちは、学校に所属しつつも、ホームスクールを選んで自宅学習をしています。