天然酵母パンづくりに必要なのは、もちろん、酵母菌。天然酵母は、自然のマジックです!市販のパン種を買わずとも、自分で簡単に作れる、天然酵母の作り方を大公開!
オーガニック農家で暮らしていたときに、自分で絞った牛乳から、バター、カッテージチーズやヨーグルトなどの発酵食品を作っていたのと同様に、天然酵母パンについても学びました。シンプルな材料に、シンプルな天然酵母を混ぜるだけで、こんなにもおいしいパンができることに感激!以来、失敗と成功を繰り返しながら落ち着いた、自分なりのレシピです。
天然酵母とは
パンを焼くための天然酵母は、英語ではサワードー(sourdough)といい、パン酵母微生物の集合体です。
微生物は、サワー種の原材料から、空気中から、またはパンを焼く人の手からなどから集まったものなので、イースト菌という単一の菌で作るパンと違い、(私の意見では)生命力があり、下記のような様々な利点があります。
- 複雑な風味がある
- 食感がよく、食べ応えがある
- 保存がきく
- 発酵中の酵母菌の事前消化によって、グルテンの量が減少するので、グルテンが苦手な人でも比較的消化しやすい
さらなる特典として?、短時間で均一に発酵してしまうイースト菌を使ったパンと違い、天然酵母パンを焼くタイミングは、スケジュールに融通が利くのも嬉しいところ。前日に酵母にえさをやるなど、ある程度の準備が必要な反面、生地を混ぜたはいいものの、パンを焼く時間がない!などというときは、冷蔵庫に入れてしまえば、2-4日間ぐらいは放っておいても全然大丈夫。むしろ酸味が増した、より風味の深いパンに焼きあがったりも。
天然酵母の作り方はいろいろあり、リンゴの皮やレーズンなどの果樹を使ったもの、ジャガイモのゆで汁を使ったもの、牛乳や発酵中のビールからの泡などを使う人もいます。
干しブドウやリンゴの皮からの種おこしで、以前失敗したことのある私のお勧めは、一番シンプルで簡単な、小麦粉と水だけのサワー種。必要なのは、いい(農薬未使用の)小麦粉といい水と忍耐力のみ!小麦粉(穀物)の中に生息していた微生物が、水を与え、かき混ぜることによって、長い眠りから覚め、活動を再開。育成された酵母は、表面にあるカビなどの悪い菌の成長を妨げ、毎日小麦粉と水をえさとして与えることによって、理想的な環境を維持していきます。
材料
- 小麦粉 適量(強力粉、またはパン焼き用の小麦粉。必ずオーガニックのものを使ってください!オーガニックでないと、酵母が死んでしまうことがあります。)
- 水 適量(塩素などを含んでいない、浄水された水を使用してください。)
- メイソンジャーなど、広口のビン
- ビンの口を覆う布と輪ゴム
- デジタルキッチンスケール(あるとやっぱり便利です。1000円ちょっとで買えるはずです。)
作り方
- メイソンジャーなどのビンをデジタルスケールにのせ、容器の重さをゼロにします。小麦粉50gと水50gを入れ、よく混ぜます。フタなしで、ビンの口に布をかけ、輪ゴムでとめて、室温に置いておきます(虫などが入らないようにしつつ、空気の循環が必要なため)。
- 半日後、酵母(のなりかけ)にえさをやります。
半日後(例えば、1で朝に混ぜたのだったら、その日の夜)、前回からの100gの酵母に、新しく小麦粉50gと水50gを加え、よく混ぜます。前回同様にカバーして、放置します。*ポイント:えさやりの基本は、理想的には朝と夜の一日2回。前回からの酵母50%の重さに対し、新しい小麦粉25%と水25%を加えます。
例:前日からの酵母が100gビンに残っていたとしたら、100gを50%として、25%(50g)の小麦粉と25%(50g)の水を加えます。
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半日後(例:次の日の朝)、さらにえさやりをします。
前回からの残り酵母200gのうち、100gをビンに残し、余分な分(100gぐらいのはず)は、別のビンに移します(えさやりを倍々にしていくうちに量が増えすぎてビンからあふれ出るのを防ぐため)。
(→この”残りもの酵母”は、ビンのふたを閉め、密閉します。密閉されている限り、保存がききます。使いみちはパンケーキ、クラッカーなど、いろいろ。密閉したビンには、1週間ほど残りもの酵母をビンの中に足し続けることができます)。
ビンに残した100gには、前回と同様、小麦粉50gと水50gを加え、よく混ぜ、放置します。 -
この、半日置き(一日2回)のえさやりを1週間~10日ほど続け、酵母を安定させます。
酵母に泡がでてきたら安定した証拠。いよいよパンを焼いてみましょう!
*ポイント:パンを焼くためには、パンを膨らますための活発な発酵力が必要なため、新鮮な酵母が必要です。
たとえば、「まりこさんちのこねない天然酵母パン」のレシピでは、約150-250gの酵母が必要です。パン生地を混ぜてから、焼くまで半日必要ですので、さかのぼって、パンを焼く一日前に酵母のえさやりをして、必要な酵母の量を確保します。
・酵母ができたはいいけど、これからどうするの?
安定した酵母が一度できたら、それを維持していかなくてはなりません。つまり、あなたはもう天然酵母の奴隷です。というのは冗談ですが、せっかくできた酵母を殺さないために、定期的(できれば一日一回)にえさ(つまり小麦粉と水)を与えていきます。えさやりにかかる時間は、毎回1分ほどですので、慣れてしまえば簡単ですし、愛情をもって育てると、ペットのように愛着がわいてきます♪
言い換えれば、酵母さえメインテナンスしていけば、いつでもパンを焼ける準備OKということです。安定した酵母をスプーン一杯分だけでも手元に残しておけば、それを増やして(えさをやって)、半日後にはパン生地のミックスができまるようになります。
といっても、忙しかったり、忘れてしまったりでえさやりができなかったときも、3~5日ぐらいは放っておいても大丈夫。それ以上の期間えさやりができない場合は、冷蔵庫に入れるか、乾燥させてパウダーを作ったりして保存することも可能です(私は経験がないのですが)。長く放置した後や、冷蔵庫から出した場合は、50%の酵母に対して25%の小麦粉と25%の水という割合以上(50%に対して、50%の小麦粉+50%の水ぐらい)にえさやりをした方が、早い復活が見込めます。
・表面に透明の液体ができた場合
これは、通常”フーチ”と呼ばれるアルコール分で、えさをやる間隔が伸びすぎたため、酵母のお腹が空いていることを示すものです。害はありませんが(それどころか、実はこれをまるごと使っておいしいもの、作れます→天ぷらや、クラッカー、オニオンリングなど)、アルコール分のうわばみを捨て、すぐにえさやりをすれば復活します。それでもまだ続く場合は、酵母を少し涼しめのところに置いて、発酵速度を遅らせます。
・天然酵母の使いみちはいろいろ!
天然酵母のレシピが見つかりにくくても大丈夫。イースト菌を使ったレシピやほとんどすべてのベーキングレシピにイーストの代用として使うか、または、通常のケーキに加えてよりしっとりさを与えるなど、応用できます(パン、ローフ、ホットケーキ、イングリッシュマフィン、トルティーヤ、クレープ、ドーナツなど)。